好評連載シリーズ 「ないしょ話」 NO.2
「ねえねえ、ないしょの話なんだけどさあ。誰にも言っちゃいやよ」
「八っつあん!ちーと耳かしな」 「なんだよ熊さん」
「じつは小耳にはさんだんだけどさ、****らしいんだよ」
「えっなんだって?****だって?そりゃ大変だよ熊さん」
「おいおい、でけえ声出すなって。誰にも言うんじゃないぞ」
「やあ、八っつあん、熊さん。どうしたんだね?」
「ああ、ご隠居さん。じつはね、こんなうわさを耳にしたもんでね、ちょっとご隠居さんに・・・」
「だめだめ熊さん。・・・誰にも言うなって自分でいったくせに」
「なにいってんの、ご隠居さんだったら大丈夫だよ。いままでだって何でも相談してきたじゃないか。
そのたんびいい知恵もらったろ」
「ところでどうしたんだね?」
「じつはご隠居さん、苗場タワーの話なんスけど、いま修繕積立金の定期預金が1億3000
万円あるんスヨ」 「ほう結構あるじゃないか」
「しかしですねえ、ご隠居あと18年後にすっからかんになるらしいんスヨ」
「ほう、そりゃたいへんじゃないか。18年後なんてすぐだよ。だって新築からもう10年経ったんだろう」
「そうなんスヨ。それでね修繕積立金を値上げするかどうかって問題が出てきたみたいなんスヨ」
「そうだねえ、築10年だからねえ。設備関係の耐用年数は15年だし、
2回目の大規模修繕を考えるとこれから金のかかるときだねえ」
「ご隠居。はじめはね、プールはあるし大浴場だってあるしって喜んでいたんスヨ」
「そりゃそうだねえ。リゾートだから当然の設備だろうけど、それだけ維持費がかるってことだなあ」
「なんかいい知恵ないスかねえ?」 「いいかい、熊さんも八っつあんも、大浴場やプールは欲しいかい?」
「そりゃ決まってますよ。お風呂がなけりゃ寒いときなんか行く気もしませんよ」
「自分の部屋にも風呂があるんだからいいじゃないか?」
「だめですよご隠居。自分の部屋の風呂なんて使ったことなんか一度もありませんよ」
「じゃあプールはどうかね?」 「・・・・・あったほうがいいなあ」
「それを維持する金は誰が払ってるの?」 「そりゃあっしらが毎月払ってますよ」
「快適なサービスを受けるとか、設備を維持するということは金のかかることなんだよ。
そのために補助金を受けられるわけじゃなし、自前で負担すべきだろう?」
「結局値上げってことですかねえ?」 「そりゃ皆さんで相談すべきことだねえ。
お金が底をついてから、修繕のたび各戸から何十万円も徴収するなんて不可能だからねえ」
「どうすればいいんすかねえ?」
「そうだねえ、まずは長期修繕計画を皆さんによく理解して貰って、
18年先の資金不足をまかなえる金額を早めに手当するしかないねえ。
もちろん普段の管理経費の節約したお金を修繕用に積立てることも必要だけどね」
「ご隠居、熊さんよお。管理費で毎週千円分ロト6買うってのどう?」
「?????」
「ご隠居。頭の痛い問題だなあ!でもまだこの話ないしょなんスヨ」
「分かったよ熊さん」
THE END
理事会では修繕積立金の値上げをしないために、あらゆる面での経費削減努力を行って来ました。
今のところ値上げの予定は考えておりません。